2022年の春
最初のSOSは2022年5月のことでした。
夫に対して、「もう一人暮らしは無理」というようになったのです。
まだ料理や家事はできるけれど、足腰が非常に弱ったことで弱気になったようでした。
もともと性格は明るい方ではなく、やや悲観的で受動的。
いつも口うるさく指示をしていた義父がいなくなって、気が抜けたのもあったでしょう。
そんなところにきたコロナによる引きこもりで、ついに何かがぷつんと切れたのかもしれません。
施設を探しながら要介護認定の申請
私はまだ様子を見に行けず、夫に頼まれて義母の町の近くでホームを探すことになりました。
しかし見つからない。というか空きがまったくないうえ、要介護認定がないと入居できない。
これは当たり前なんでしょうけれど、介護についてよく調べていなかった私たちには初耳のことばかりでした。
とりあえず要介護認定の申請をして、それまではなんとか一人暮らしを頑張ってもらうことにしました。
買い物さえ行ければ総菜などの食べ物はあるし、清潔好きの義母だからタクシーでお風呂へ行けばいいと思っていたんです。
まあ、非常に甘い考えだったんですけど…
施設が見つからないまま6月に入りましたが、まだ方針は決まっていませんでした。
事態は深刻だった
義母と同じ町内には義母の身内がまだ住んでいます。
姪の一人が看護師なので、義母は時々頼りにしていたようです。
といっても、病気らしい病気になったことはないのですけれどね…
6月くらいから、義母に電話しても明らかに寝ている、ということが多くなりました。
それで夫が看護師の従姉妹に様子を見に行ってくれるようお願いしたのです。
するとどうやら日中ほとんど寝ているし、ろくなものを食べていないとのこと。
「叔母ちゃんもう一人暮らしは無理じゃないの?」というのです。
それ以来毎日彼女が義母に食事を届けてくれるようになりました。
それでも背中が痛い、胸が痛いと言って、朝6時ころから姪に電話するようなのです。
(もともと朝4時くらいに起きる人なので、6時を早朝とは思っていない)
彼女にも子供や孫がいるのですから、甘えるわけにはいきません。
やっと仕事を休めるようになったので、私は義母のコロナワクチンの予定もあり急いで車を飛ばしました。
ダンゴムシ状態の義母
3時間半運転し夫の実家に行くと、義母はベッドに横になって泣き声を出していました。
「背中が痛い、胸が痛い」と。
完全に背中を丸めてダンゴムシのような姿勢でベッドに服のままで寝転がっているのです。
話しかけていろいろ尋ねたのですが、どうやら一日中寝転がっているので、時間の感覚がなくなっているようでした。
いつ食事をしたのかも思い出せない。もちろん入浴も着替えもしていない。
とりあえず起こして身なりを整えさせ食事をし、銭湯に連れて行って翌日のコロナワクチンに備えました。
そして義母が何もしないために虫だらけになっている家の中を掃除しました。
古民家といえば聞こえはいいですが、古くて隙間だらけなので、夏は虫がそれはそれは入ってくる家なのです。
元気なころは義母が毎日虫を退治していたんですよね。
眠れぬ夜
私はその夜は自分達の家ではなく義母と同じ部屋に泊まることにしました。
しかし私は畳の上に布団、義母はベッドだったのですが、全く眠れません。
ひとつは、義母が1時間ごとにトイレに行くため。
なぜかトイレに行く時はシャキッとなって、早足で廊下に出て遠くにある(古民家なので…)トイレまで行くのです。
戻ってきて布団に入ると、1時間もすればまた起き上がります。寝られたものじゃありません。
もうひとつは虫です。
色々な種類の虫が、床を這って布団に入ってくるので、落ち着いて寝られません。
わたしは寝るのを諦めました。
たぶん以前あの家で布団で寝られたのは、義母が掃除していたことと、虫よけに外でいろいろ撒いていたからだったのでしょう。
翌日は朝食後コロナワクチンの接種に連れて行き、少し元気になった義母に安心しました。
昔の話などをさせれば元気になるようでした。
夫と交替して、私は都市部の自宅へ戻りました。
ちなみに、夫も義母のそばに寝ましたが、虫や義母のトイレはまったく気にならず朝まで寝たと言っていました…